ローズピンクと笑顔 第2話 「愛の欠片」

夜風が大分涼しくなってきた。
きょうは花屋のバイトが終わって、
恋人のユカの家に向かうところだ。
「まだ明るいなあ」
あたしは何となく呟いた。

今日ユカから大事な話があるから来てと言われた。
あたしたちは女の子どうしの恋人。
けっこん?(こんどから一緒に暮らす約束)もした。
今更何の話があるんだろう?
まさか、やっぱりレズなんておかしいとか言われるのかなあ。
でも、あたしたち別れるのいやだし。

遠慮がちにドアフォンをならす。
「どうぞー!」
怒ってる様子はない。
3階まで上がるのが長く感じた。
ドアを開けると美奈子の笑顔があった。
「ユカー、来てくれてありがとう。
まあ、あがって・・・・」
いつものように美奈子は髪をなでてくれた。

「あ、パスタ、ソースも作ってみたの。
食べてね」
「ねえ、美奈子大事な話ってなに?
さっきからずっと気になってたのよー」
あたしが言うと、
美奈子はまじめな顔つきになった。
「べつにね、今話さなきゃいけないことじゃなかったっていうかー、・・・・・」
どうしたんだろう?
「ユカを愛してるから話するんだけど・・・・」
「どうしたの?
らしくないよ、ユカ」
あたしたちはパスタに火を入れる前に話をすることにした。
「ユカ、あたしの横に座って」
そういわれてあたしはやっとリビングに腰を落ち着けた。

観葉植物が綺麗だった。
「ユカ、あたしとんだまちがいをしちゃったの。
あたし実はちょっと前っていうか、ユカと付き合う前からなんか体がおかしかったの。
なんとなくおトイレ近いし、たまに愛し合ったあとそこがひりひりしたりしてたの。
ごめんユカ。
あたし婦人科に行くの恥ずかしくて・・・・」
背の高いユカが何だか小さく見えた。

「泣かないで」
と言ってあたしは彼女を抱き寄せた。
「大丈夫。
病院にあたしも一緒に行く。
でも、もっと早く言って欲しかったなあ」
「ごめん。ユカ」
「どうしても認めたくなくて・・・・」
いつもは逞しいのに。

あたしはぎゅっと彼女を抱いた。
そして、涙を流してるユカにタオルを渡した。
あたしは思い当たるところがあった。
確かにときどき外陰部がひりひりとしたり痒かったりすることがあった。
「もっと早く言ってくれたら、
あたしユカのこともっと大事にしたのに・・・・」
「あたしもそういう感じあったけど、言い出せなかったの。
ごめんなさい、美奈子」
その後二人で話し合って恥ずかしいけど、明日婦人科に検診に行くことにした。
「こういうのは早く解決した方がいいもんね」」
というのが同意見だった。
その後一緒に夕ご飯を食べた。
そのころにはもう外は暗くなっていた。

あたしたちは美奈子が生理不順で通ってる婦人科に行くことにした。

午後2時。
気温は温かい。
美奈子は久々にスカートをはいていた。

婦人科に到着する、
何だか人がいっぱいいて普通の内科とかと変りなかった。
そして、オルゴールが流れていた。
二人の思い出の音楽が流れてきたときは、
「これドライブのときにいつも流してたよね」
なあんていいながら順番を待った。

恥ずかしいけど、二人で待合室に入れてもらうことにした。
「美奈子さん問診表見ました」
「はい、恋人のユカです、二人で来た方がいいかと思いまして・・・・」
先生はやさしそうな女性でとても美人だった。
先生はてきぱきと診察してくれた。
あっという間に終わった。
「それじゃあ二人ともここに座ってください。
説明しますから」
「ユカさん、あなた膀胱炎と害陰部にかなり傷がついてました。
治療が必要です。
1週間後に来てください。
それとお二人ともHIVの検査はした方がいいでしょう」
「美奈子さん、あなたも同じように傷がついてました。
それと膀胱炎、お二人とも同じです。
美奈子さんとユカさんの問診表見させていただいて思ったんですけど、
過去に男性にそうとう傷つけられましたか?」
「はい」二人同時に言った。
「でも、クラミジアとかになってなくてよかった」
と美奈子がいう。
「だけど、定期健診をお勧めします。
理由は分かってますね。
同性愛の人のばあいはすごく難しいんです」
もちろん男性と女性も難しいと言われた。

あたしたちは会計をする前に血液検査をした。
梅毒とかの検査だ。
それとぬり薬と飲み薬をもらった。
ちょっと嬉しかったのは女の子の恋人どうしでも嫌な顔一つせず診察してくれて
私たちのことも美奈子さん、ユカさんとファーストネームで呼んでくれたことだ。
美奈子が家まで車で送ってくれた。

あれから二人は体では愛し合っていない。
でも、繋ぐ手の温もりがすごく尊いなあと思ったり、お互いやさしくできたりする。
こんどこの花を美奈子にプレゼントしようかとか考えたり。
治療の方も順調にしている。
大分よくなった。

血液検査の結果が出るまでの数週間はどきどきした。
だけど、お互いやさしくできた。

そうして、治療が終わった日のことだった。
あたしたちは春の海を見に行った。
そのときに、
美奈子が徐にバッグから綺麗な箱を取り出した。
「はい、これ約束の指輪」
左手の薬指にはめてもらった。
すごく嬉しかった。
そうして、お互い我慢しないこと、
愛し合う前はシャワーを忘れないこと、
膀胱炎の予防のためにもかならず前後にトイレに行くことを約束した。
「二人の体は一つの体だと思おうね」
と美奈子が言った。
そして、そのままキスをした。
とても癒される時間だった。





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