今日は終業式。
夕べ、クリスマスパーティーとかではしゃいだ人もいるらしいけれど、
わたしには無関係な話。
協調性がないといえばないかもしれないけれど、
人と一緒に騒ぐというのが苦手。
ときそき、わたしってなんなんだろうと考えたりすることがある。
自分でも本当のわたしを知らない。
わからないことばかりで不安になる。
幸せになりたいとは思う。
クラスの中でも、恋人やそれに近い人がいる人たちはいる。
自分に恋人がいるわけじゃないけれど、うらやましいと思ったことは不思議に一度もない。
恋人がいれば、幸せってことじゃないもの。
じゃ、なにが幸せ?と聞かれると、答えれないわたし。
これからのわたしが幸せを見つけることができるんだろうか。
クラスメイトの健太郎くんは、カツヤくんにまた成績で負けて落ち込んでいる。
「いくら努力をしても、報われないって、つらいよな」
以前、彼からそんなことを聞いたことがある。
彼にしてみればつらいかもしれないけれど、がんばって努力することはすごい。
でも、残り3学期だけなので、最後まで健太郎くんは勝てないまま。
彼の落ち込みぶりはちょっとかわいそうなぐらい。
成績表をもらい席に戻るとき、彼は机の足を思いっきり蹴飛ばし、あらあらしく席に着いた。
大人気ない行動かもしれないけれど、彼の気持ちはわかる気がする。
努力をしても報われず、挫折感を味わった高校生活。
これから先どんないいことがあっても、健太郎くんにはそのつらい思い出が残ってしまうんだね。
でも、自分のためにしたことって、自分がいなくなればおしまいでしょ。
どうして割り切ろうとしないんだろ?
自分の可能性を信じたいとかあるかもしれないけれど、自分に妥協って言うのは許されないこと?
そりゃ、自分も大切かもしれない。
それよりも人のことのほうが大切じゃないの?
そう思うから、人付き合いがついつい慎重になって臆病になって、
みんなと打ち解けることができないのかな。
カツヤくんみたいに一人でいるのが一番いいなんて言わない。
人を好きになって、別れるのがつらい。
彼の言うことはわかるけれど、そんな先のことまで考えられない。
人を好きになることは自分だけの問題じゃないでしょ。
自分と相手。
2人がいて、それぞれの熱い想いがあって。
橋本先生が成績表を渡しているとき、教室にセイジくんが入ってきた。
彼が入ってきたとき、教室は今までの明るさがウソのように静かりかえる。
「遅れてきてすみません」
そう言って、送れたことなど気にしないで席に着いた。
橋本先生は彼の席に歩み寄り、何か注意しているようだけれど、
セイジくんはまったく聞いていないみたいだ。
言うことを言うだけいったみたいで、先生は前に戻っていく。
クラスの中でも目立たない人や浮いている人はいるけれど、
セイジくんは彼らとは別格。
自殺未遂ということがあって、なおさらクラスのみんなとつながりを持たなくなった。
彼とお話しをする人は、あまりいない。
でも、わたしは彼といろいろなお話がしたかった。
自殺未遂でこういうことになってしまったけれど、生きていればなんとかなるもの。
彼と会えなくなる前にせめて一言だけ言っておきたいことがある。
生きているのは自分。
だけど、そんな自分と接した人たちがいる。
自分に関係ないことかもしれないけれど、残された人たちの心にはそんな自分が残っていく。
残された人の中には、一生会えないことがつらい人がいるかもしれない。
好きになった人と一生会えないなんて、本当につらいことなんだから。
知らないうちにセイジくんを見つめていたみたい。
橋本先生から名前を呼ばれて注意された。
そして、成績表をもらいに前に出る。
「ひなちゃんはときどき、考えことをするときがあるのね。
もう少し、集中しなくちゃダメだからね」
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